インコについて



インコが好きです。

子どものころ、長い間セキセイインコを飼っていました。

思い出すのは、友達の家のインコが、ある日カゴから逃げて帰ってこなかったこと。

インコは本来、群れをなして生きる鳥で

ひとりではさびしくて、耐えられないのだそうです。

逃げたインコも、家族や仲間をつくり、生きたのでしょうか。

小さなインコ、いわゆるリアルな大きさでつくっても納得ができず

いろいろな大きさを繰り返すうちに、こんなに大きくなりました。

気がつくと、自分の等身大のインコが出来上がっていました。

つまるところ、命の実感がともなうのは、自分自身の大きさなのかなあと感じています。


そして、このインコたちには顔がありません。

目鼻口を付けることによって、作者の意思を入れたくなかったからです。

同じ型紙、同じ手法でつくっていても、そこに佇むだけで、インコたちはそれぞれ表情が違い、

背中から何かを発しているように感じます。

インコたちは私が時間をかけて日々生み出しているものではありますが、

この近年、インコたちのしもべとして、つくらされているような、支配されている感覚をおぼえます。

私は、インコたちの意思を尊重し、大切なことは、すべて作品に委ねているのです。



                                                  川上和歌子